照明について思うこと2003.05.13.

 昨今の住空間の大きな流れとして、「一室空間」というキーワードがあげられる。都市型の狭小住宅においてのびのび生活するためには、チマチマと部屋をいくつも分けるよりも、一つの空間を多用途に使い分ける方が現実的だといえる。そうすると、その空間における照明の役割はいっそう重要になっていると言える。
 その空間は、時間帯、使う人、その目的などにより、さまざまなシーンが想定される。家族団らん、読書、勉強、テレビ、音楽鑑賞、ホームパーティ、、、etc。そのような空間に於いて、一つの(もしくは一種類だけの)照明だけで、すべてのシーンに対応することは難しい。

 ヨーロッパの住宅では、もともと建築的に照明器具が付いていることが少なかったということもあり、室内には様々な照明器具が散りばめられている。住人は部屋に入って、それらをひとつひとつ、必要な分だけ付けて廻る。現在の日本の住宅では、ドアを入ったすぐのところに、スイッチがあり、それですべてがコントロールできる。

 照明とは(個人的には)光を供給する為だけでなく、「影」を作ることを目的としていると考えている。空間の中で「暗い」部分があることにより、空間を心理的に広く見せ、深みのような感覚を与える。その明るいところと暗いところを空間内に意識的に配置することにより、豊かなインテリアを作り出し、その性格を明確にすることにより、様々なシーンに応じることができる。もちろんその場合に重要なことは、照明器具そのものでなく、照明により作られた「光と闇」という照明効果であり、照明器具のデザインはあくまで、ビジュアル的な要素の一つとなる。

 よって、私は「照明器具」としてのプロダクトデザインには、実は、そんなに興味がない。だから、できるだけ照明器具の存在を消し、光だけを扱いたいと思う。または、インテリアを構成する一つのオブジェクトとして、もしくは、「光と闇(この場合、どちらかというと、『闇』の意識の方が強い)」を作り出す装置としての存在か。そこにこそ興味を持つことができ、その合致した所にのみ照明器具の存在理由を見出すことができる。

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