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ミストサウナ『MiSTY』がある新しい空間の提案

dazed and confused/幻惑されて

概 要
 『MiSTY』がある空間、そこに浴槽はいらない。天井から絶え間なく降り注ぐ水粒。その粒は空間全体に充満し、身体を優しく包み込んでくれる。そこにある空気すべてが浴槽に張った湯であり、空間全体が浴槽と考えられる。つまりその空間全体が『浴槽』と言ってもいいだろう。
 そこに身を置いた我々は薄暗い空間の中で霧に包まれたような感覚に陥る。霧の中で、我々の視覚が持つ『被写界深度』は極めて浅くなり、目の前のモノ以外すべてのモノの輪郭が曖昧になり、それが実態なのか虚像なのかはっきりしない。
 霧の中、それぞれの姿勢で繰り返される会話。その背景として、交換可能なパネルを用意する。洞窟の中、星空の下、夜景が見える丘、森の中、、、ぼんやりとした視界の先のその風景は、今までに見た記憶の中の風景かもしれない。

コンセプト
 MiSTYの特徴や効果を考えると、従来の「湯を張った浴槽に浸かる」という入浴スタイルは変わっていくのではないかと思える。そしてこれからの入浴スタイルは「洗う」「あたたまる」といった機能的な側面よりも、「語らう」「リラックスする」といった気持ち的な要素に重点が置かれるであろうことも容易に想像できる。
 そこで、その「気持ち」を体験する場として、その背景となるバスルーム空間を3つのポイントから提案してみたい。

1.階段状に掘込まれた大きな浴槽
大きな浴槽を提案する。その大きさはすでに「浴槽」と呼ぶには相応しくない大きさである。浴槽は床面に彫り込まれ、立ち上がりがないため、洗い場から跨ぐことなく浴槽に入ることになる。これはバリアフリーという視点からではなく、純粋に『ミストサウナ』を楽しむための空間であり、家族がコミュニケーションをとる場所であるという視点から、その邪魔になる物はすべて排除しようという試み。
浴槽の縁は階段状になっており、身体の大きさが違う家族がそれぞれの気持ちがいい場所を見つけて、思い思いの姿勢で語り合う。それこそがリラックスしている状態であり、そこで語られること、見つめ合うことこそが本物のコミュニケーションであり、親密な家族を育てていく源となる。そんな風景を作り出す階段。ここが家庭の浴室であることを忘れてしまう一瞬。果たしてこれを「浴槽」と呼んでいいのか疑問に思うかもしれない。

2.シーンを作り出す透明なパーティション
シャワーユニットを挟んで二列の透明なパーティションを設ける。このパーティションの開閉により、4つのシーンを作り出すことができる。
a.全面がミストサウナエリアとすることで、広い空間でのコミュニケーションが可能となる
b.1/4を脱衣エリアもしくはクールダウンエリアとすることで、脱衣〜入浴〜サウナ〜シャワー〜着衣という普段使いの空間となる。
c.クールダウンエリアを1/2と広くとることにより、もう一つのコミュニケーションエリアが生まれる。サウナで語らい、クールダウンしながら語らい、その話題は尽きない。また、ミストサウナエリアとクールダウンエリアの双方間でお互いを意識しながら別の行為を行うことができるのも、この透明ンばパーティションのおかげである。
d.両方のパーティションを閉じることにより、浴槽エリア、シャワーエリア、クールダウン(脱衣)エリアが独立し、例えば慌ただしい朝のシャワータイムにも対応できる。
このように、2列の透明なパーティションにより、2坪の空間を、視線を遮ることなく、機能により仕切られ、あらゆるシーンを作り出すことができる。

3.組み替え可能な壁パネル
コミュニケーションの場として想定されるこの浴槽は組み替え可能な壁パネルにより、その雰囲気を変えることができる。「洞窟の中」「星空の下」「夜景が見える丘」「白樺の森の中」、、、いずれも『MiSTY』が発生させた霧の中で、ぼんやりとした視界の先のその風景は今まで見た記憶の中の風景かもしれない。